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『手紙~拝啓十七の君へ~(第2章)』    アントキャ・ガキ

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拝啓 45の君へ

17の僕には誰にも話せない悩みがあるのです。

拝啓 お手紙ありがとう、青切符まで同封していただいて。

何も言わなくてもその悩み解ります。学校帰りに親友の賢ちゃんを乗せて、青雲寺前の30キロの県道を50キロ以上で安全運転して捕まったワケですね。でも、赤じゃなくて何よりです。

それは、心配なのも解ります。いつ、校内放送で職員室に呼び出されるか気が気じゃ無いでしょう。

しかし、そもそもの間違いは、機械科の佐藤君と夏休みを利用して諫早自動車学校に中免を取りに行ったのが始まりです。多分、謹慎1週間コースでしょう。

私には君の未来が見通せます。

同じ建築科のS君と廊下で、担任のF先生から往復ビンタを喰らっているのが見えます。

S君は家の農作業中にテーラーを運転して捕まったそうです。(笑)

その後、二人して職員室の散髪コーナーで、貝印T型2枚刃で滞りなく得度式を終えられました。

見事な青々とした絶壁頭を、あちこち出血して。学校にはバリカンはあっても、シェービングクリームといった気の利いた物は無かったんでしょうね。

あと少し我慢すれば冬休みになり、3学期は車の免許が解禁になり、就職の準備で坊主頭から開放されると言うのに。

でも君は諦めませんでしたね。近くの薬局からカロヤンの一番高いやつを購入して、毎晩流れ落ちる程振りかけ、卒業式前には床屋に行き、短かすぎると考え込むオヤジを拝み倒して、無理してパンチパーマをかけましたね。

でも君が大人になった時、この事は貴重な経験になるでしょう。人は、失敗する事により、人としての器が大きくなります。学生だからこそ出来る経験です。

大人になってから人に怒られる様な事をすると、こんなもんじゃ済みません。

♪人生のすべてに意味があるから 恐れずにあなたの夢を育てて keep on believing ♪

                                 新宿の父より