㈱文芸春秋
最近、映画にもなりましたが山本一力さんのあかね空という本です。
京都の豆腐職人が十余年の奉公を終えて、江戸に出て行き、深川に自分の店を持ち、桶屋の娘を嫁にもらい、京都と江戸の食文化の違いに悪戦苦闘しながら二人で店を切盛りして商売を繁盛させていく物語です。
深川といえば、昭和50年頃、北の国からの倉本聡さんのドラマで「前略おふくろ様」というドラマがありました。
山形から上京して、深川の料亭「分田上」に板前見習いとして働く青年(萩原健一)が主人公のドラマでしたが、そのときの板前姿のショーケンが格好よく、板前頭の秀さん(梅宮辰夫)、恋人のかすみちゃん(坂口良子)、同郷の海ちゃん(桃井かおり)、鳶頭の半妻(室田日出男)等、料亭を舞台にした下町の何とも言えない良く出来たドラマでした。
毎回、故郷の山形に残した母親(田中絹代)に手紙を書くところから始まるんですが、あの時の下駄履きに首にマフラーを巻いたサブちゃんを見て、これもまた名作の「傷だらけの天使」とは違った職人のカッコよさがありました。
だいぶ後になりますがショーケンが豆腐屋の大将を演じたドラマもあります。(豆腐屋直次郎の裏の顔)。
いつの時代も、職人の世界は過酷で、孤独で、寡黙ですが、どんな状況においても、いつも格好よく前向きでありたいと思う1冊です。